Medea InOBJECTION

今回のオウム問題に関しては”主義主張”の部分でぶつかっていると言う
ところが、今まではなかった要素だと言えます。今までは炎上対策として、
コミュニケーションスキルを磨くと言うところに力点が置かれてきました
が、主義主張同士のぶつかりあいだとそれは通用しない。その意味では、
大変エポックメイキングな事件だったと思います。

『メディア・イノベーションの衝撃』より、藤代氏

 さて。
 さしあたり関連部位を探すための流し読みと関連部位の通読を終えたところだが
 まずは本全体について少しだけ書いておこう。この本は。研究会で行われた討論
 記録から書かれている訳だが、個々の回ごと、つまりこの本の章ごとに参加者も
 議題も違い、当然話の流れも結論も個々の章ごとにばらばらである。というよりも
 個別の章ごとでもなかなか議事に沿って結論が導きだされているように見えない。
 またこの本には索引がない。個々の章ごとで何がどう扱われているのかは実際に
 通読しなければ解らない仕組みになっている。わざとなのかどうかは知らないが。


 で、とりあえず他に読む人の利便を考え関連部位のピックアップをメモしておこう。
 いわゆることのは問題、松永氏に絡む問題についての記述は以下の頁に見える。
 見つけたのはP55、65、83、145、229、233 という六ケ所。漏れもあろうが
 そう大幅に増えはしないだろう。いずれを読んでも、まあ記述としては物足りない。
 ここで指摘されるように見方の問題もあろうが、おそらくは分量の問題だと思える。
 抽出出来た箇所のどこを読んでも提起された問題につき話を膨らませる人はなく
 要するにこの事について「話し合われた」というよりはむしろ「話に出た」だけだと
 言うべき程度である。つまりは個々の言及者の個人的な観点の域を出ていない
 事しかこの本には書かれていないだろう。それにしたって量がなく、当人の本位
 について参考にして書くためには、いささか情報源として貧弱だと言うべきだろう。

 
 松永氏関連の問題に的を絞って言えばこの本は現状それほど大した意味はない
 だろう。無論書籍として残るのだから、そこからこの問題が新たに芽を出す事も
 ないとまでは言い切れないのだろうが、今のところはそうなる可能性も見えない。
 

 従って、
 現状この本から解る事と言えば、佐々木氏がこの問題を一応は気に留めており
 こう言った研究会でも問題にしようとはしていると言ったぐらいの事になるだろう。


 そして
 まだ流し読み段階で何か本全体について言う事があるとすれば、それはここで
 言われる事が結局個々のブロガーやブロガーになろうとする人に余り役に立つ
 ものではないと言う事だろう。例えば「リテラシー」一つとってみたところでその
 具体例と実技には踏み込んでいない。泳げない人に向かって泳げるようになる
 べきだといっても余りに助けにはならない。つまり、ここで問題点は通り過ぎる
 対象になってしまっている。だが最初にひいた藤代氏の意見にも見られる通り
 次第にそれでは済まなくなってしまってきている。それについて具体的な処方
 箋は提示されていない。殊にそれが明らかなのは、こうした主義主張の問題は
 そもそもメディアに知見の蓄積があってよさそうなのに、それが出てきていない
 というところだろうし、それに変わる知見を探しあぐねているところになるだろう。
 

メデイアの魔法の力は民の恐れるところとなり、
イアソンはイオルコスの王位を継ぐどころか、
国にいられなくなってコリントスに逃れた。

イアーソーン - Wikipedia