答えは3(亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その⑦)

「その主張を行わない理由」は十分にある。それは「被害者の心情を
理解すれば」、そしてさらに、死刑回避論を唱える弁護団の戦略的
道具とされている本村さんの立場への配慮を含めて考えれば、容易に
導き出される社会的通念である。司法家は、時に社会通念に抗しても
真実を貫くことはあろうが、完全に独立しているわけではない。もし
そう考えているとすれば、司法関係者の思い上がりである。
(改行は引用者j_m_w_tによる)

そうではなくて、常識と正義の概念が問われているのだ。 - AnotherB

 さて。
 BigBang氏が事の終わりを告げないままに次の事に進もうとしているようである。
 予め言えばそれは結局事の全てを気紛れな不始末だったと決定付ける事だろう。


 従って、ここでその振る舞いを許容する訳にはいかない。そしてそれは別の側面
 から言ってもそうである。引用して示した文章は次の文章とも齟齬しているからだ。

どうやっても、あなたに神の視線は与えられないのだ。当たり前のこと
なのだが、そういうことだ。つまり、反する側は反すればよいし、語る
べき側は、粛々と語っていけばいい。 (改行引用者)

世界の再構築を「3番目のもの」に関して考える: BigBang

 弁護士は「反する」側であるからその職責に従って反しているはずなのであって
 小倉弁護士からの指摘も全くその点に集約される。勿論それを踏まえなおこの
 弁護団の話に有効性があるかどうかは疑問だろうが、その一点を突破口として
 独善じみた同情論をぶっているのではそこに正義への真摯さはないように思う。


 それが独善じみているというのはこういう事だ。それは法曹三者の役割をひどく
 安易に超越出来ている気になっている。つまりその役割を軽く扱っているのだ。
 被害者遺族の側の一方的な言い分で事が済むなら法曹三者が何故要るのか。
 無論これも原則論ではある。しかしでは何故原則論で返されるのかという事を
 まず考えるべきだ。というのもBigBang氏やそうした類の発言が全く混乱して
 いるからである。それが混乱しているのは次の二つの事を混同しつつ主張して
 いるからである。その二つの事とは「弁護として」失当かどうかと「常識として」
 許容可能かどうか、の二つだ。そしてこの二つはある単語を通じて混同される。


 それが「常識」というマジックワードだ。それは遍く社会を覆うものだとされては
 いる。その定義上自らと社会を通じさせる理路として使いやすい代物ではある。
 だがその使いやすさは正しさとは別の事だ。使いやすい言い訳は思考停止に
 陥れうる。それは例えば正義を追求してきた歴史を何も考えず愚弄させたりも
 する。法の正義を現実化する際の弁護人の役割を度外視させたりもするだろう。


 全く問われているのは「常識と正義の概念」である。そこにまず楔を打ち込む
 べきなのだ。常識が正義を詐称するなら下劣化と卑小化が始まるからである。
 

 なお、念のため言えば正義を現実化する法の過程を常識で侵犯しない場合は
 当の法の過程についてより慎重な発言が出てくるべきである。つまりそういった
 「一見」弁護としてさえ失当であるような発言の根拠をまず探る事になるだろう。
 そうする事さえもなしにいかにも訳知り顔に弁護人らを審判する者は全くどんな
 立ち居地にいるのか。あえて言えばプロの裁判官よりも判断力に富んでいると
 自負しているのでなければそんな横暴なやり方で結論を急ぎはしないだろうに。
 


 平たく言えば神にでもなったつもりなのだろうか。括弧付きの「常識人」たちは。

 
  
 それを飽くまで括弧付きのものだと言うのは審判のプロを信用せず我先に審判
 してしまおうとしている不躾さこそ常識外れだと僕自身が感じているからである。
 そして司法における三者の分担というものを今日の常識であると考えるからで
 その権力分割は暫定的とはいえ相応に意味のある正義への答えだろうからだ。


 その答えへの気紛れな侵犯を許容は出来ない。例えそれが被害者への同情を
 装おうともだ。それはその気紛れの台頭が被害関係者から自由を静かに奪って
 ゆくからだ。気紛れな処罰感情も当事者にとっては重大問題になるからである。
 マスの気紛れな処罰感情を当事者に代表させる事は全くおぞましいものである。
 それは無自覚に静かに行われるコントロールであり、全く下劣さの始まりである。


 ともあれ
 ここでBigBang氏に話を戻そう。氏はそれまでに扱った件の始末をまだ十分に
 つけ切れていない。そしてそこでとりうる選択肢は大雑把には次の4つだろう。
 1:事を終わらせ遅延の理由を明かす。
 2:終わらせきれない理由を説明する。
 3:問題自体を取り下げる、と表明する。
 4:終わらせない。ただ問題を放置する。
 
 さて。