共通IDの抑止効果について


 小倉氏のAnnexの方のコメント欄などでは共通ID実装後の実名開示を
どんどん行わなければ誹謗中傷への抑止効果は得られず、勿論それほどに
悪くないがあまりよくもない発言への抑止効果などは得られるはずがない
と言いたげな発言があったりした。だがこれは何を言っているのだろうか。


 というのは


 普通抑止力というものはそれが「振るわれない」場合に機能する事こそ
求められているはずだからだ。「次ぎやったら免停」といわれる場合には
「免停にならないように」気を入れて運転する動機が生まれて不思議では
ない。それは「ガンガン免停にしてやる」という事とは全然別の話である。
というよりも、もし本当に「ガンガン免停にしてやる」という事になれば
「気を入れて運転しても無駄」という事になりかねないから逆効果にさえ
なってしまうかもしれない。抑止効果というのは基本的にコレと同じでは。
抑止力としての核爆弾も「ガンガン落とす」つもりなんてなくても有効に
「抑止してくれる」なら持つ価値はあったりする。あるいは核に関しては
異論のある向きもあるのかもしれないが、市民に代わって危険に直面する
「かもしれない」警官が銃を持つ意味であれば理解しているのではないか。
勿論これは「ガンガン銃をブッ放す」という事では全然ない。そしてこの
抑止力の効果を高めるやり方には色々あるだろうが、例えばピストルから
マシンガンに持ち変えればもっと人は警官の目に注意するだろうし、また
ピストルのままでも今までより「警官の発砲が許可される条件」の緩和が
なされれば「そうなりたくないから」注意する人も増えたりするのだろう。


 従って


 実名開示基準が今までより緩くなるだけで、実際には「実名開示されて
いない人にも」実名開示に陥るような行動をやめとこうという気にさせる
効果はあるはずである。勿論それがどの程度必要かというところや緩和の
程度とのバランスは問題になって当然ではあるだろうが、ガンガン実名を
開示するリンチ的な空想をもって抑止効果への批判とする事は無理がある。