「心を与えて あなたの手作りでいい」

 

流星群
流星群
posted with amazlet on 07.06.11
鬼束ちひろ 羽毛田丈史
東芝EMI (2002/02/06)
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 さて。
 BigBang氏のエントリがようやく上げられたが、大事な事は書かれていない。
 というより固有名詞が松永氏以外ほぼ皆無というところから「深読み」される
 のもやむをえない書き方をしているとしか思えないのだが、どうやらこれでも
 深読み対策で書いたとの事。ではここに現されている事を読み解いてゆこう。

 
 まず

その成果がどういう評価を受けるかはわからないが、人が
力を尽くして提出したものに対しては、批判することも
含めて我々には正面から受け止めるべき理由があろう。
(改行引用者)

うんざりはしているが、絶望はしていない - AnotherB

 この部分だが、さして真実味があるようには思えない。というのはその前に
 なされた話し合いについてきちんとした評価がなされたとは思えないからだ。
 

 次に

そもそも「ことのはを巡る問題」と呼ばれたものは、誰かの
ために急速に終息させなければならないという立場には、
僕は立っていない。(中略)で、もしもこれについて、続けて
考えていこうとする心の動きが、誰か1人のところにあるので
あれば、それは続いていく。それは誰にも止められない。
(改行引用者)

同上

 この部分は明確に異を唱え記録してゆかねばならない。これは言語道断だ。
 まず前半は単なる呟き以外の何でもない。「立場には立たない」という宣言
 そのものは結構な事だが、では逆にどのような立場にいるのかとかあるいは
 「何故」その立場に立とうとしていないのか説明するのでなければただ単に
 他人から眼を逸らしているだけだ。何の説明でもなく単に自分の心ばかりを
 無傷に済まそうとしている。そしてその同じ事が後半部分にも言える。事を
 続けて行こうとする人がいれば事は続くと言っているが、それは単に追認か
 服従であって、要するに事を終わらせる意志も規準も持っていないという事
 でしかない。さらにそのロジックも奇妙だ。何故「誰にも止められない」のか。
 まさかナウシカの蟲だなんていう性質の悪い駄洒落でもないだろうに、この
 無力感の理由は何なのだろう。何にせよ、特に同意する理由も必要もない。


 
 そして

仮に、終息のありかたのようなものが、誰かの心にあったとして、それはその
とおりに進むわけもない。自己が何らかの信念を持つことは結構だが、多くの
場合ことはそのとおりには進まない。あなたと私は違う人間なのであるし、その
議論=つまりことをどこかの定点にたどりつかせようという試みはそろそろ不毛な
領域にさしかかっている。終わりを急ぐ人たちは、なぜ急ぐのか。否、終わらせ
ようという不自然な試みが、一層ことを無用に再燃させるのではないか。

同上

 ここに至っては全く馬鹿げている。事の終わりを思い描くやり方なら一種類
 ではない。期待と予測とに落差があるのは至極当然であり、だからそれを
 埋める能力と努力が要るだけだ。事が期待通りにならないから無意味だと
 いうのは馬鹿げているし、予想通りにならないからというのも同じ事である。
 つまりこれは「違う人間である」という事を単なる口実にしているだけの事
 でしかない。無力感の口実にしている。だが何をする場合でもそんな事は
 当然の前提なのだから、誰しも何かをする時には他の視点を見据えておく
 ものではないのだろうか。ともあれ、これではBigBang氏にそれを見据えた
 跡を認める事は出来ないだろう。さて、では不毛なのは果たして誰なのか。
 
 
 そして「終わりを急ぐ」人などどこにいるのだろうか。僕には全然解らない。
 そもそもまともに終わりに言及した人は数える程だろう。アイス氏とeshek
 氏そして僕以外に誰かいただろうか。無論個人的な撤退宣言は別にして。
 その内アイス氏は単発のコメント以外に現れていないしeshek氏も四月の
 頭から現れていない。残るは僕だが僕が事の終わりに言及してきたのは
 随分前からだ。何となればここですでに言及している。最近のシリーズの
 エントリにしても三月五日六月四日の間に八回に分けて書いたものだ。
 軽く三ヶ月時間をかけている。つまりは四季の一つをそれに費やしたのだ。
 これを「急いでいる」と言えるのだろうか。それは事実にそぐうものだろうか。

 
 さらに「再燃」と言う表現も果たして適切なものだろうか。それはひとまずの
 鎮火を前提にしている。だが事実そうではなかったからこそ終わらせるべき
 だったのだから要するに火の不始末でしかない。それを再燃とは言えまい。
 大体にして「始め方」さえ今更のように今頃決まったようなどうしようもない
 ペースだったというのであれば、それをなお継続する事の馬鹿馬鹿しさにも
 眼を向けるべきだ。特に「誰かが続けたいなら」と言った自己のなさのままに
 それに介入してきたならなおさらだ。どうして自分の行動理由を喋らないのか。
 何故他人を納得させる具体性と説得力とを得ようとするのでもなく、最低限
 正直に自分の心を他人に与えようとする事もしないのだろう。そこが問題だ。


それはあなたたちが己の血のみ流れる事を恐れる卑怯者だからです

大暮維人「天上天下」10巻

 結局のところ、こういった台詞を投げられなければならないのだろうか。そう
 されなければこれまで何をしたかったのか喋る事もしないというのだろうか。
 何故他人を納得させる必要を感じないのだろう。身勝手ではないのだろうか。
 どこかの誰かの気紛れな風向き次第でどうにかされてしまう危うい燻ぶりに
 誰かを晒したまま何故自分には関係ないかのような態度を取れるのだろう。

同日追記

 誤記修正。